2023.08.30 号
なんと暑い(もはや熱い)夏なのでしょう!
お元気で、ご無事でいらっしゃいますか?
8月20日に、秋田・新屋で『アラヤード・ピクニック』の音楽会と読書会を行いました。今夏の秋田は、連日、宮城よりも東京よりも高温。気象Newsでは「命に関わる危険な暑さ」と報じられ、「不要不急の外出は避けて」と「熱中症警戒アラート」が出されるさなかのことでした。
それでも、事前に夏風邪のため欠席というご連絡をくださったかたのほかは、全員がご予約通りにご参加!お越しくださっただけで、「ありがとうございます!」という日でした。
コロナ禍に見舞われて以降、飲食物の提供は控えておりましたが、それこそ「命に関わる危険な暑さ」ですから、休憩中には、エルダーフラワーティーを抽出したものをキンキンに冷やしておいて、お出ししました。スウェーデンなど北方で好んで飲まれるティーです。
アンケートには、演奏のご感想もさることながら、このアイスティーのおいしさに触れてくださったかたがとても多かったのも、この日の暑さを物語っていると感じたことでした。
さて、もう一つの"熱い"夏は、感動とともに終わりましたね。
昨年につづいて決勝に進んだ、仙台育英学園高等学校の硬式野球部チームのみなさん、チームに関わる多くのかたがたが届けてくださった有形無形の熱いメッセージが、心に深く刻まれました。
一番は、須江航監督の「人生は敗者復活戦」とのお言葉。ふだんから座右の銘だそうですが、今回、準優勝であったことで、あらためてお言葉に重みがくわわったように感じられます。
選手たちの出身中学を見てみますと、宮城、青森、秋田、岩手、山形、福島、と東北は全県から。そして、東京、千葉、神奈川、茨城、兵庫、大阪、広島、三重からも。
かつては、“寄せ集め”と冷ややかな声もありました。たしかに、2018年に溢れる感動をもたらしてくれた金足農業のような潔さとは、すこし違うのかもしれません。
でも、大切な高校三年間を、この宮城の地で過ごすことを決断してくださり、そして昨年は、東北悲願の初の「白河の関越え」を現実のものとしてくださり、東北の人間に、「おぉぉぉ!」というどよめきと歓喜をもたらしてくれた東北愛あふれる仙台育英のみなさんには、感謝しかありません。今夏も、最高でした。
二十四節気では「処暑」、七十二候では第41候「天地始粛」(天地、はじめて寒し)」となりました。
暑さもおさまる季節の変わり目で、夏の気が落ちつき、万物があらたまる頃、だそうですが、どうやら9月に入ってもまだいましばらく気温の高い日は続きそうです。行く夏をゆっくりたっぷり惜しむことができそうですね。
私どもHappy TocoのLiveは、来たる秋に3回、9月17日、10月15日、11月26日と続きます。
9月17日は、ブラジル特集で、光裕&聡子&雅裕での演奏。10月15日は、Happy Toco 15周年記念第2弾、こちらもメンバー3人でのLive。
11月26日は、岸川くんがどうしても都合がつかなくなり、ベースの青木大志さんをお招きし、光裕&聡子&大志でのステージとなります。
みなさま、秋の3部作、どうぞお出かけください!
心より、お待ちしております♪
満月の夜に
満月がひときわ大きく見える「スーパームーン」が、今日(30日)夜から明日(31日)明け方にかけて観察することができるとのこと
(明日午前10時36分に満月となるものの、すでに月が沈んでいる時間帯のため)。
今年の中で、地球に最も近い位置で満月になるゆえだそうですね。
いま外に出てみましたら、残念ながら愛子では雨が降っていて、月は隠れています。これから雲は晴れるでしょうか。
さて、長いことHappy Toco Club通信は、満月の夜に制作し、翌朝に投函しておりました。しかしコロナ禍を含め、さまざまなことが起きてから、なかなか筆が進まず、何かお伝えすることが出来たときに……というペースになっておりました。
このたび、また満月の夜に発行することを再開することにいたしました。
やはり私どもは、いつも夜空を眺めて、いろいろな思いを馳せたいのです。そうした私どもが奏でる音楽を、満月の日から間もないときに、毎回思い出していただけたら、というのが私どもの願いです。
昨日は、Happy Tocoメンバーと、いつもゲストとしてベースを弾いてくださる青木大志さんと4人で、藤崎ビアガーデンへ行ってまいりました。
今秋の3公演(9月17日のブラジル音楽特集、10月15日のHappy Toco15周年記念第2弾)、11月26日のジャパニーズミュージック特集)にむけて、決起集会のような宴でした♬
そして今日は、9月17日のブラジル音楽特集のLiveへむけて、3人でリハーサルをしてきました。弾いていても、身体がおもわず動いてしまうような、楽しくご機嫌になる音楽です!ぜひお聴きいただけましたら幸いです♪
(聡子)
ブラジル
ブラジルは、アメリカ大陸(特に、中南米)の他の地域と同様に、15世紀末のクリストヴァン・コロンボの“新大陸発見”をきっかけに、ヨーロッパ各国の侵略・征服、虐殺、略奪の対象となった。
「ブラジル」という国名の元となった「ブラジル木(ボク)」(インド由来の蘇芳(すおう)と同種)。現地語で「赤い木」を意味するとおり、幹の内側は血を流したように赤いこの木は、染料の原料としてヨーロッパに輸出されるため100年もたたずに伐採し尽くされ、その後のサトウキビ栽培や内陸部の黄金採掘のため奴隷とされた原住民(インディオ)はほぼ絶滅し、アフリカからの大量の奴隷がこの地に連行された。
スペインに支配された南米の他の国々に対して、ポルトガルの植民地であったブラジルでは、黒人奴隷に対する待遇が比較的穏やかだった。そのため、故郷(アフリカ)の様々な文化が新たな形で継承され、それが、ショーロ、サンバ、ボサノヴァなどのブラジルの多様な民族音楽をも生み出す温床となったと言われている。
1960年にわずか3年余で人工都市ブラジリアを建設し遷都(首都移転)を実現したブラジルだが、同時に、世界一の密林アマゾンを北部に有し、そこに住む先住民族を保護することにも力を入れている。1988年に制定された新憲法では、先住民族が独自の習慣、言語、信仰、伝統を保持し、暮らしてきた土地への権利を永続的に持つことを認めている。
300以上の先住民族の人権を保障し、500箇所以上の先住民族保護区があり、保護区の総面積は全国土面積の12.5%、そのほとんどがアマゾンにある。アマゾンの“開発”が推進される中、どのように先住民族保護区が守られるかが、国としても大きな課題となっている。
2018年、若手アーティストの有村泰志さんがSNSを通じて発表した「TOKAI と INAKA」という作品が話題になった。
漆黒に塗られた2枚のキャンバスが並び、そこに白1色で
多数の大小の点が描かれている。TOKAI のキャンバスの白い点は下部に集中しビル群の照明を想起させる。一方、INAKA のキャンパスの白い点は上部に集中し真の暗闇に浮かび上がる天の川を表しているようだ。見るものにはすぐに、この2枚の絵がまったく同じもので、単に上下逆さになっていることが分かる。
世界の人類が求める“開発”と、地球規模での“保護”も、相反する課題なのではなく、この作品のように、ちょっとした考え方の転換で実現できるものかもしれない。
国という単位で、大都市の開発と先住民族の保護を実現しようとしているブラジルにも、持続可能な環境づくりのヒントが見いだせるのかもしれない。
次回のHappy Toco Liveでは、歴史や人種、そして自然と人の関係性に対する多様な考え方を背景に、ダイナミックに変化してきたブラジルの音楽を、私たちも楽しみながら演奏したいと思う。
(光裕)