2022.10.3

仙台では、秋晴れが続く中で、金木犀がいっせいに咲き始めました。馨しい香りが、そこかしこから風にのって、漂ってきます。

さて、榊原光裕と佐藤聡子が、Happy Toco Houseで開催してきた読書会のご常連のお二方とともに執筆した『僕たちの音楽案内』が、いよいよ10月15日に刊行されます。この本を制作するに至った、そもそものきっかけはあとがきに記されています。4人それぞれが書いたもののほかに、作曲家・宮城純一とヴァイオリン担当・佐藤聡子による「往復書簡」も収載しています。音楽に、文学や科学なども絡ませながら展開しています。本質的なことに触れながらも、タッチは重くはなく、さらっとお読みいただけるかと存じます。

全国どちらの書店でも、お取り寄せしてお求めいただけるようです。また、10月23日のLiveでも販売いたします。ぜひお読みいただけましたら幸いです。

小さなお客さま

仙台・銀杏町にある「となりのえんがわ」でLiveをするようになって、何回になるでしょうか。
9月23日におこなったLiveには、秋田から、小学1年生と幼稚園生のご兄弟がご参加くださいました。ステージが見えやすいように最前列に席を2つ用意しました。

「となりのえんがわ」にいらしたことのあるお客さまでしたらお分かりのとおり、こじんまりとした会場ゆえ、最前列はおのずと、手を伸ばせば演奏者に届きそうな近さです。
小さいお2人は、静かにきちんと座り、演奏中はじっと観察して楽しんでくれた様子。弾き終えるたびに、こちらに微笑みをむけ、大きな拍手を送ってくれました。大人顔負けのマナーを持ち合わせていたのでした。
その後、お2人のママが、
「子供たちから『最高に面白かった!今日は最高に良い日だった!』と言ってもらえて、本当に嬉しかったです。」
とのお便りをくださいました。こちらこそ、ほんとうに嬉しく存じます。

またいつか、Happy Tocoも、何百人、何千人というお客さまを前に演奏する機会も、あることでしょう。でも、ごく少人数のお客さまに、間近で聴いていただくLiveも、大切にしたい、と今は思っております。            (聡子)

Funky and Cool

皆さんは、「ファンキー」という言葉を聞いて、どんなイメージを持たれるでしょう?

「ヤンキー」にも似た響きであることもあるのだろう。「一風変わった」「型破りな」「派手な」「イカす」「カッコいい」などさまざまあるでしょう。古くは矢沢永吉(キャロル)が歌ったヒット曲「ファンキーモンキーベイビー」や、そのタイトルが由来となった音楽ユニットのイメージなどが影響しているかもしれない
しかし、英語の「funky」の元々の意味は、悪臭、カビ臭いなど、嫌な臭いがすること。そして、語幹の「funk」は、名詞として「臆病、憂鬱、落ち込み」、動詞として「怖気づく、恐れる」など の意味だ
これらから派生して「土臭い」「素朴で洗練されていない」「田舎の」などの意味を持つようになり、1960年代になると、黒人(アフリカ系アメリカ人)が、ソウルミュージック、ジャズ、リズム・アンド・ブルースなどを組み合わせた新しい音楽の名称として使われた

この「土臭さ、田舎臭さ」が、逆に独特のアイデンティティ(個性)となり、「ファンク(ファンキー)・ミュージック」はヒットし、その後、70年代以降のディスコ文化に大きな影響を与えた
この流行が、「ファンキー = かっこいい」などの意味をもたらしたのだろう
この10年程前に、ジャズのスタイルの一つとして使われた「クール cool」 も似ている
もとは「涼しい、冷淡な」などの意味から、「涼しい顔の、冷静な」になり、そのような態度や様子が、「クール=格好いい、すごい」、さらに「素晴らしい」などに転化させた

ジャズはもともと、ヨーロッパ人(白人)が“征服”し、アフリカ人(黒人)を奴隷として使役した中南米を発祥の地とし、それを商品とした商売にした合衆国から世界に発信された
音楽商品として考えると、販売者(レコード会社)はアメリカの白人中心の社会だが、製造者(作曲者、演奏者)としての黒人の存在意義は大きい。中南米の国々からは、その後も様々なスタイルの音楽が作り出されては、合衆国から、あるいは直々に世界に送り届け続けられた

しかし一般社会では、その後も白人による黒人差別は続き、奴隷解放宣言以降のおよそ100年後に、公民権運動で法の下の平等を得るまで、多くの黒人に市民としての自由と権利はなかった
公民権運動と前後して打ち出されたファンク・ミュージックは、はじめて自分たちの手で自由を勝ち得た黒人が、自分たちの手で表現・発信をおこなった音楽ともいえる
しかし、差別はさらにその後50年以上経つ現代でも続き、数年前、白人警官による黒人への暴力や殺害などに端を発した「ブラック・ライヴズ・マター」運動は国際的に広まっている
10月23日には、「ファンキーとクール」な音楽の躍動を感じていただけるLiveをお届けしたいと感じている  (光裕)

催しのご案内

2022年10月23日(日)仙台 となりのえんがわライヴ

開場 14:40  開演 15:00

出演:Happy Toco

    榊原光裕、佐藤聡子、岸川雅裕+Guest 青木大志

会場:となりのえんがわ

  仙台市宮城野区銀杏町4-29  TEL: 022-256-7223

ミュージックチャージ(要ご予約)

  ゴールド会員 2,500円、ブロンズ会員 3,000円

  通信会員 3,500円、一般 3,600円、(当日 4,000円)